歯科コラム

矯正治療を考えているけど親知らずの抜歯が怖い!−親知らずと矯正治療のお話−

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こんにちは、江戸川区一之江の矯正治療専門クリニック、ステラ矯正歯科院長の西田です。

矯正治療を行う際に、『親知らずは抜かなきゃダメですか?』と質問されることがあります。 友人や知り合いが親知らずを抜いたときに、ものすごく腫れたり、血が出るという話を聞いて『親知らずを抜くのが怖い』『親知らずを抜きたくない』などの思いがあるのだと思います。

矯正治療をする際に親知らずを抜いたほうが良いかどうかは、親知らずの生え方や、歯並びによりますので一概には言えません。 親知らずを残しておくと、のちのち痛くなったり腫れたりするというのはよく聞く話ですし、『親知らず=抜くもの』と思っている方もいらっしゃいますが、抜いたほうが必ずしも良いというわけでなく、抜く必要のないケースもあります。

この記事では『親知らずは、なぜ抜かれることが多いのか』、『親知らずを抜く理由』や、『親知らずを残すメリット』、『歯列矯正時に親知らずの抜歯は必須なのか』などについてまとめました。

親知らずが正常に生えてくるのは10人中2~3人

大昔(ネアンデルタール人がいた様な時代)の人は、現代の人よりも顎が大きかったため、親知らずを含めて歯が並ぶスペースが十分にあるケースが多かったのですが、 現代の人は昔に比べて顎が小さくなっている傾向にあります。

理由としては、食べ物の変化が原因の一つだと言われています。 昔は硬い木の実や肉を食べていましたが、現代では食品加工技術の発達もあり、それほど硬い食べ物を日常的に口にすることは無くなってきたため、段々と退化して顎が小さくなっていきました。 大昔の人は、歯が全部で36本あったことがわかっていますが、 現代の人は、親知らずを含めても32本です。

それでも、歯がきれいに並ぶには顎のスペースが足りなり場合が多く、 斜めに生えてきたり、もともと親知らずが生えてこない人もいます。 現在では、親知らずが正常に生えている人のほうが圧倒的に少なく、4本すべての親知らずが正常に生えている人は100人中わずか2~3人ほどです。

そもそも、親知らずをなぜ抜くのか?

親知らずがあるみなさんは1度や2度は、歯医者に行った際に医師から親知らずの抜歯を勧められた。 という経験があるかもしれません。 そもそも、なぜ親知らずは、抜く対照になることが多いのでしょうか。

むし歯や歯周病になりやすいため

下の親知らずが横向きに倒れて生えていたり、一部のみが歯肉(しにく)から露出しているような場合、食べカスがポケット状になった歯肉の間に入り込みやすく、歯みがきで除去することも難しい状況になります。

上あごの親知らずの場合は歯並びから外れて生えていることも多く、歯磨きがしづらい上、噛み合わせに参加していないのでさらに汚れが付きやすい状況となっていることが多いです。

その結果、知らないうちにむし歯が進行している場合が多く認められます。また、疲れやストレスで体の免疫が落ちている時、突然親知らずが腫れて痛むこともあります。そのような、親知らずが原因で起こる歯肉や歯周組織の炎症のことを、智歯歯周炎(ちしししゅうえん)といい、 顔が腫れたり、口が開きにくくなる場合もあります。 治療を行ったとしても、普段の歯磨きでの清掃ができにくい場所であることから、再発する可能性も高くなってしまいます。

歯並びが悪くなる可能性がある場合

子供の頃は歯並びが悪くなかったのに、親知らずが生えてきて歯並びが悪くなってしまったという方もいらっしゃると思いますが、 実は、親知らずが原因では並びに影響を与えることは珍しいことではありません。

通常、永久歯は12歳前後で生え揃いますが、親知らずは、すべての歯が生え揃った後一番最後に生えてきます。 大体17歳ぐらいから25歳ぐらいで生えてくることが多いです。 例えば、顎が小さい場合などは、親知らずが正常に生えてくるためのスペースが無く、倒れて埋まってしまっている状態になっている場合も多く見られます。 その様な場合、親知らずが生える際、前にある歯を押し出すように力が加わっていってしまいます。

そうなると、押し出される力に負けて、徐々に前の歯が動いていき、歯がデコボコにずれてしまう結果になります。 一度デコボコになってしまった場合は、その後に親知らずを抜歯したとしても、自然に元通りになることはありませんので、矯正治療を行う必要があります。

親知らずは無くても問題ないの?

親知らずを抜いてしまって機能として問題がないのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。 親知らずがある状態が、親知らずを抜いた状態よりも機能として劣るのかとなると、そうでもありません。

歯は、それぞれにしっかりと噛み合っていることで本来の機能を果たすことができます。 しかし、親知らずがきれいに生え揃っている人は100人中2~3人程度となっていますので、 もともと、本来の機能を果たせていない場合の方が圧倒的に多いのです。 逆に、親知らずが生えていることで他の歯の歯並びに影響して、かみ合わせが悪くなってしまう場合や親知らずの埋まっている方向によっては噛み合わせにとって重要な奥歯の根っこを吸収してダメにしてしまう場合もあります。このように親知らずがあることによって、かえって本来の歯の機能を低下させることもあるのです。

親知らずを残すメリット

逆に、親知らずを残しておくことにもメリットはあります。

別の歯を抜歯した際に移植することができる

手前のどこかの歯を抜歯することになった場合、親知らずを移植することができます。 失った歯の場所や大きさにもよりますが、入れ歯やブリッジなどにせずに代用ができる可能性があります。 親知らずの移植の条件は少々厳しく、親知らずが虫歯になっていない状態で、まっすぐ生えていて、かつ、抜歯の際に歯を割る必要がない状況でしか適応できない方法ですが、 移植ならではのメリットもあります。 親知らず等を移植する自家歯牙移植(じかしがいしょく)のメリットには、なんと言っても歯根膜(しこんまく)の存在があります。

歯根膜(しこんまく)の存在

歯を失った場合の治療方法として、インプラントを思い浮かべる方も多いと思いますが、 インプラントには歯根膜はありません。 歯根膜というのは、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)と歯根(しこん)の間でクッショのような役割を果たす組織のことです。 このクッションのおかげで、より自然な感覚で噛むことができます。 また、歯根膜には再生機能があるので、移植した場所の骨や歯周組織の再生が期待できます。

保険が適応できる可能性がある

インプラントは基本的に保険対象外のため自費治療になりますが、自家歯牙移植の場合、いくつかの条件を満たせば保険が適応できます。 条件は、まず、 移植する『歯が親知らず』または『埋伏歯(まいふくし)』であることです。 ※埋伏歯は歯の頭の全てまたは一部が顎の骨や歯肉に埋まっていて出ていない歯のことです。 次に、移植する場所にまだ歯が残っていることが条件です。 すでに歯が抜かれてしまっていて、移植する時点でもともと歯がない場合には保険が適応できません。

ブリッジの土台にできる

親知らずを残しておくと、歯を失った場合にブリッジの土台として使用できる場合があります。 ブリッジは失った歯が連続して2本までの時に使用する方法ですので、 失った歯の本数によっては使用できませんが、 一番奥の親知らずが残っていることで、ブリッジの土台として使用できるケースがあります。

歯科矯正時に親知らずを残すことは可能か

歯列矯正を行う場合に、親知らずを抜歯する場合はありますが、正しく生えている場合は、そのまま親知らずを残す事ができる場合もあります。 治療前に抜歯するケースとして、 親知らずがあることで、他の歯が正常に並ぶスペースを確保できない場合などは、奥歯をあごの後ろの方に動かしていく治療を行うことがあります。その際は、親知らずがじゃまになるため、矯正前に親知らずを抜歯する場合があります。 抜歯のタイミングに関しても様々で、矯正前に行うこともあれば、矯正の治療中に抜歯を行うこともあります。 矯正歯科医が、親知らずが矯正の邪魔にならず、矯正後もかみ合わせや歯並びの悪化などのリスクがないと判断された場合には、抜歯を行わない場合もあります。

矯正前に抜歯を行う場合は要注意!

矯正治療をお考えの方は、親知らずを先に抜いてしまうと後悔することになるかもしれません。 もし、むし歯などで状態の悪い歯が他にある場合は、そちらを抜歯して、親知らずを生かして歯並びを整えることがあります。また、親知らずは通常使用する奥歯より小さいことが多いため顎が小さい方では、通常の奥歯を抜歯して親知らずを生やして使う場合もあります。 先に抜いてしまっていては、もうもとに戻すことはできませんので、矯正治療をお考えの方は、先に矯正医に診てもらうことをお勧めします。

まとめ

歯列矯正を行う際、親知らずがあるからと言って、必ず抜歯が必要と言うわけではありません。 矯正治療を行う際は、逆に親知らずを利用して矯正を行う場合もあります。 まずは矯正専門の歯科医師に、歯並び等のお口の状態と親知らずの状態を診てもらい、 その上で、親知らずを残すことによる、メリットやデメリットを検討し判断することが大切です。


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