
こんにちは江戸川区瑞江のステラ矯正歯科です。矯正治療では、一人ひとりの歯列咬合の状態を把握するために分析診断をおこなっていますが、その際レントゲン撮影は欠かせない資料です。本日のコラムでは、矯正歯科で撮影している「レントゲン撮影について」お話いたします。
目次
レントゲンとは
歯科で用いられるレントゲンには、
- あご全体を撮影する「パノラマ撮影」
- 2~3本の歯を撮影する「デンタル撮影」
- 頭部を撮影する「セファロ撮影」
- 「顎関節」撮影
- 「手根骨」撮影
- CT撮影
といったように様々な撮影方法があります。
いずれの方法でも、撮影されたレントゲン画像は白黒に写り示されます。白黒の色の違いは密度の違いです。歯や骨・密度のある金属・歯石などは白く写り、密度の薄い空洞部分、つまり気道や鼻腔やむし歯の穴などは黒く写ります。こうした白黒の違いを診て判断し、治療に役立てています。
歯科レントゲンは安全かどうか
度々、患者さんから受ける質問です。結論から述べますと、歯科レントゲンによる被曝は微量で心配する必要はありません。
健康に被害を与える被曝量は100シーベルト以上であり、歯科レントゲンの被曝量は1回あたり約0.01-0.1シーベルトと僅かです。また鉛の入った「放射線防護用エプロン」を着用することで、被曝量をほぼゼロにしています。
また人間は日頃から、食物や大気、大地といった自然放射線の影響を微量に受けながら生きています。
※勘違いしやすい部分ですが、放射能とレントゲンによる放射線は異なるものです。
矯正の診断には、どんなレントゲンが必要なのか
当院では、基本的にレントゲンを3枚撮影しています。さらに必要があればレントゲンを追加撮影しています。必要なレントゲンは、以下のとおりです。
1.あご全体を撮影する「パノラマ撮影」
当院では初診時に撮影をおこないます。
複数の写真をつなぎ合わせ、一枚の写真を作る撮影方法です。
顔の周りを装置(フィルム)が回転しながら、部位ごとに撮影されていきます。
歯を含んだ、あご全体の撮影をおこない、様々な情報を得るのに役立てます。
具体的には、上下の歯列全体・顎の骨や歯を支えている骨の様子を確認します。
歯の本数の過不足や埋もれている歯がないか、歯の交換順序や生えてくる方向に異常がないか、親知らずの有無や、歯を支えている骨の様子などを確認します。
また矯正治療中に、歯軸の方向を確認するために撮影することもあります。
2.頭部正面を撮影する「セファロ撮影」
正しくは「頭部エックス線規格写真・セファログラム」と呼ばれ、歯科矯正領域では欠かせない資料です。
一定の規定に基づいて、頭部側面・頭部正面を撮影することで、以下が可能になります。
・治療計画を立てる際の分析診断時に役立つ
・治療前後の比較ができたり、経年的に撮影することにより成長の過程を確認できる
※一定の規格…X線管球(X線を発生させる装置)、頭部、フィルムの方向と距離を一定に揃えて撮影をおこなう
「頭部を正面」から撮影したレントゲンは、顎顔面の側方的(左右)、および水平的特徴の分析に用いられます。具体的には、下あごの横ずれがないか、下あごの左右差がないか、上下歯列の中心のずれがないか、といった点を診ています。
「頭部を側面」から撮影したレントゲンは、顎顔面の前後的および垂直的特徴の分析に用いられます。具体的には、上下あごの大きさや位置、上下前歯の傾斜、上下奥歯の位置などを診ています。
追加で必要となるレントゲン
必要に応じて以下のレントゲン撮影をおこなうこともあります。
1.手の骨を撮影する「手根骨撮影」
成長を予測する一つとして、手の骨を撮影することがあります。
身長の伸びと骨の成熟度は密接に関係するため、手の骨の成熟度から身体の成長発育を評価するためです。(骨年齢)
成長のピーク前か、真っ只中なのか、ピークが過ぎて成長は見込めないのかなど。
撮影時期としては、第二次性徴期の、女子では11~13歳、男子では13~15歳ごろになります。
主に、親指の付け根に出現する種子骨や、手根骨に出現する「有コウ骨フック」を判断材料とします。
2.「オクルーザル撮影」
主に、埋伏歯や過剰歯の位置や方向を確認したい時に撮影します。
急速拡大時の正中口蓋縫合の離開状態や化骨程度の確認に用いることもあります。
3.「CT撮影」
CTとは、コンピューター断層撮影法(computedtomography)の略です。
装置が360度回転しながら人体にX線を当て、その情報をコンピューター処置し鮮明な輪切り画像を得る撮影方法で、そこから様々な3次元画像を作れます。
矯正分野では、埋伏歯の位置を正確に確認するためや、矯正インプラントの埋入・外科矯正を予定している患者さんの資料として活用されます。
4.あごの関節を撮影する「顎関節撮影」
口を開閉するとき、耳前1~2センチぐらいに位置し動く骨が「顎関節」です。
開口時・閉口時の左右顎関節の状態が、四分割され一枚の写真として作られます。
あごの関節の状態によって、開閉運動のパターンも異なってくるため、情報を得ることは重要です。顎関節の位置や形態(左右差や吸収)の異常がないか確認します。
まとめ
レントゲンについてお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか。
過去のコラムでもお伝えしてきましたが、歯科矯正では正確な分析診断はとても重要であり、そのためにレントゲンは欠かせない資料です。
このコラムを読んで、歯科矯正におけるレントゲン撮影についての興味や理解を深めていただければ幸いです。