こんにちは。江戸川区瑞江のステラ歯科 院長の西田です。
矯正治療で使用される装置は多岐に渡り、取り外しできるものと、取り外しできないものに大別されます。
今回のコラムでは「取り外しできる床矯正装置」について、いくつか代表的なものご紹介します。
紹介するもの、すべてを当院で取り扱っているわけではありません。
取り外せる装置の場合、治療効果は患者さんの装着時間に大きく左右されるため、患者の協力がとても大切になります!
目次
取り外しできる床矯正装置って、どんなパーツから成るの??
これから紹介していく装置はいずれも「床矯正装置」に分類され、その歴史は古く1836年まで遡ります。
①基礎床(プラスチック板)、②クラスプ(歯科用合金で作られた留め具)、③矯正力を発揮する部分(能動素子)という、3つのパーツという単純な構造から成るため、複雑な歯の移動には向かないとされ、主な目的は「歯の移動や歯列弓の拡大」となります。
単純な構造であっても、その作用効果は高く、改良を重ねられながら、現在も臨床の場で多く使用されています。
①基礎床は、矯正力の固定源となり、歯・歯槽骨へ矯正力を伝達する役割を持ち、
②クラスプは、床矯正装置を保持する役割を持ちます。
③矯正力を発揮する場所とは、拡大に用いられるネジや、歯の移動や回転を誘導するワイヤーを指します。
いずれの床矯正装置も、食事と歯磨きのとき以外は終日使用を行うことで効果が発揮されます。
定期的な検診を行うことで、効果の程度の確認・装置の調整を行います。
以下に代表的な床矯正装置をご紹介していきます。
拡大床とは
子供の矯正治療において、使用される頻度の高い装置です。
拡大床の種類は様々ありますが、最も用いられるのは、前歯・奥歯ともに拡大が必要な床装置です。
主に上あごの狭い歯列を、側方に広げるために使用します。(下あごにも使用されます)
装置中央部に付属された拡大ねじを、週1~2回の割合で回し、歯列を拡げていきます。
拡大量によっても異なりますが、使用協力がよければ半年程度の使用が一般的です。
食事と歯磨き以外、終日使用してもらうことが目標となるため、最初は大変に感じます。また使用時間が短いと、拡大が進まない・フィットが悪くなるなどして、装置の違和感や痛みの原因となってしまいます。
拡大床・ファンタイプとは
上あごの前歯のみ拡大を行う場合、扇型(ファンタイプ)に拡大するネジが使用されます。
前歯部のみ拡大されるという特徴から不適合になりやすく、犬歯にクラスプつけて維持保持する構造になっていますが、装着時間が短いと不適合となりやすくなります。
また臼歯部のクラスプがなんとなく入ってしまうことが多いため、患者さんが不適合に気づきにくいことも多く、使用に気をつける必要があります。
咬合斜面板とは
ジャンピングプレートとも呼ばれ、
混合歯列期の、過蓋咬合(噛み合わせの深い)で、かつ下あごの位置が後方にあるときに使用されます。
口蓋のプレート部分を斜面状に作ることで、下あごを前にスライドすることが可能となります。その結果、下あごが前方に位置し過蓋咬合の改善が期待されます。
咬合挙上板とは
混合歯列期の、噛み合わせが深い(過蓋咬合)の治療で使用されます。口蓋の部分のプレートに厚みを持たせることで、奥歯を挺出させ、前歯を圧下させた結果、過蓋咬合の改善を期待します。
拡大床を始めとする床矯正装置にまつわるトラブル
安易な拡大床の使用によるトラブルが近年問題となっており、「日本臨床矯正歯科医師会」が警鐘を鳴らしています。
資料採取→分析→診断を経た上で、矯正治療に用いる装置が選択されるのが矯正を専門的に学んだ歯科医師の常識ですが、
矯正の知識がなく過程をきちんと踏まずに、安易に拡大を行ってしまった結果、トラブルを招く事例が増えています。
そしてトラブルを回避するには、きちんとした知識や技術を持ち合わせている矯正医の元で治療を行うよう、歯科医師会は推奨しています。
当院でも、一般歯科で矯正を始めたが、その経過や結果に不安を感じて相談に来る方も増えています。
まとめ
床矯正装置についてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。
どの矯正装置でも、その目的や使用方法についてしっかりお伝えするようには心がけていますが、お伝えしきれていない部分もあるかと思います。
今回のコラムで、装置への理解を深めていただければ幸いです。
上下一体装置や、固定式装置についても、順次ご紹介していきますね。
子どもの矯正治療は、江戸川区瑞江のステラ矯正歯科にご相談ください。