こんにちは江戸川区瑞江のステラ矯正歯科です。
今回のコラムでは、「子どもの矯正治療」について取り上げてみたいと思います。
子どもの矯正治療とは何か、その目的や効果・開始時期や治療期間・費用・などについて、2回にわたりお伝えしていきます。
目次
子どもの矯正治療とは
成長期の子どもに対しておこなわれる矯正治療は「1期治療」と呼ばれます。
身体が成長発育する時、口の中も乳歯列から混合歯列・永久歯列へと生え変わり、顎顔面も大きく成長します。
成長の旺盛な時期に、何らかの原因で滞りがおこると、顎顔面・歯列の正しい形態・機能の獲得が難しくなります。
すると、歯並び・噛み合わせが悪い状態や、顎顔面の発育が悪い状態が作られてしまいます。
こうした状況に対し、滞りを解消して増悪しないように、予防や抑制するのが「1期治療」の役割となります。
具体的には、永久歯が並ぶ土台作りのために顎の成長を促進あるいは抑制したり、永久歯が生える幅を確保するために歯列弓を拡大したり、悪習癖の除去をしていきます。
1期治療に対して、永久歯列におこなう矯正治療は「2期治療」と呼ばれ、ブラケットとワイヤーを用いた「歯の移動をメイン」とする治療となります。
1期治療のメリット
1期治療の良さは、以下のようにいくつか挙げられます。
- 早いうちから審美的コンプレックスを改善できる
- 骨が柔らかいため、顎や歯を動かしやすい
- 歯の欠如や過剰、埋伏といった問題を早期発見し、早期治療ができる
- 形態改善をおこなうことで、機能(発音・呼吸・咀嚼嚥下)の回復が早いうちに期待できる
また早期介入は、1期治療後に続く2期治療にもメリットをもたらします。
- 2期治療をおこなう際、抜歯を回避できる可能性が高まる
- 2期治療期間が短くて済む
- 外科矯正治療を回避できる可能性が出てくる
1期治療に対する考え方
あご歯列・筋バランスが成長に伴い著しく悪化してしまう前に、軌道修正するという1期治療の考えは主流であり、現在多くの矯正医が実施しています。
そうした中で、敢えて1期治療に介入しない、もしくは介入はしたが中断するといった場合もあります。
1期治療を行わない/中断する場合
- 症状が軽度であるため、1期治療の必要性がないと分析診断された場合
- 1期治療の効果があまり期待できないと分析診断された場合
例えば、外科手術を伴う矯正治療を避けられないほどの歯列咬合であることが早期から予測できる等
3.1期治療で使用する装置の協力度が、本人の特性や多忙、モチベーションがない等から望めない
(また多くはありませんが、1期治療の治療効果をあまり重視しない考えを持つ矯正医の場合、積極的におこなわないこともあります。)
1期治療の効果
1期治療による早期治療が功を奏したか否かの判断は簡単にはいかず、またその判断ができるのは成長が終わった後になります。
判断が難しい点に関しては、
個人の成長度合いや成長方向、装置の使用状況とそれに伴う効果の度合い、習癖の発現や影響度など様々な要因が関わるためです。
そのため期待通りの治療効果が得られる患者さんもいれば、思ったよりも功を奏さなかったという患者さんも出てきます。
また、判断に期間を要する点に関しては、
1期治療は「成長を利用した治療」であるため、成長が終わってみないとその成果を判断できないからです。
例えば早期介入により低学年から矯正治療を開始し、たびたび1期治療の成果を確認しても、真の成果が分かるのは成長が終了する中高生頃になってしまいます。
そのため早期介入し治療が長期に渡ったことで、モチベーションの低下や高額な費用負担を招いてしまうこともあります。
1期治療の効果を得るには、以上のような点を踏まえた上で、適切な介入時期を含めた治療計画を立てることが重要となります。
予測した治療計画通りの成果を、適切な治療期間で終えられた場合、1期治療は成功したといえます。
1期治療を成功させるポイントは「二人三脚」
矯正医による治療計画の立案が重要なことはもちろんですが、装置の選択やその装置を最大限発現できる治療技術、患者さんのモチベーションを維持する医院づくりも大切となります。
そして医院の努力だけではなく、患者さんやそのご家族の協力もとても大切になります。
患者さんが、指示通りに装置を使用してくれているか、定期的に来院しているか、習癖の改善に努めているか、そうしたことです。
まとめ
子どもの矯正治療である「1期治療」についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。
次回のコラムでは、引き続き1期治療について、相談時期・開始時期・治療期間・費用などについてお伝えします。