こんにちは江戸川区瑞江のステラ矯正歯科 院長の西田です。
本日のコラムでは、食べ物を噛む時に使う咀嚼筋の主となる「咬筋」の役割やストレッチ方法について、お伝えしていこうと思います。
咬筋のほかには「側頭筋」という筋肉が、咀嚼筋として働いています。側頭筋に関しては、また別の機会にお話させてくださいね。
目次
咬筋とは?
頬骨と下あごをつなぐ大きな筋肉で、下あごを引っ張り上げる働きを持ち、あごを閉じる役割持ちます。その働きによって、私たちは食べ物をすり潰して食べることができています。
とても力強い筋肉で、何十キロという重さの物を持ち上げられるパワーがあるといわれています。大きなパワーを発揮できる反面、咬筋の過剰な発達や緊張は「ガチガチなコリ」となり様々な悪影響を及ぼします。
咬筋のコリ
咬筋の過剰な発達や緊張となる、主な原因は「上下の奥歯が接触している癖」によるものです。
この接触癖を無意識に日常的に行っていることで、咬筋に大きな負荷がかかり、ガチガチのコリとして現れます。
働く場や教育場でも、パソコンを用いた作業が多くなり、「接触癖」をもつ人は非常に増えており、「現代病」として問題視される機会も増えています。
その他の原因として、食いしばりや歯ぎしりなどの癖・ガムや硬いものを好んで食べる嗜好習慣なども、咬筋が凝る原因といわれています。
そもそも筋肉が発達するってどういうこと?
一般論として、トレーニングによって負荷をかけることで、筋肉は鍛えられ、発達・肥大します。荷重や長時間負荷を持続させるといったオーバーワークは、筋の過緊張や硬縮を引き起こすためNG行為となり、適度な休息を行うことが大切です。つまり、咬筋に当てはめてみると「接触癖や歯ぎしり・食いしばり・ガムや硬いものを好む習慣等は、咬筋をオーバーワークさせる可能性がある」ということになります。
※硬縮とは、筋肉の過緊張が亢進し、筋肉が萎縮したり、筋肉の柔軟性が失われることです。
筋肉のコリとは
筋肉の過緊張や硬縮がコリを招きますが、「コリ」を一言で表すなら「筋肉が張った状態」です。
筋肉は縮んだり弛んだりとポンプのような働きをすることで血液を各所に送っていますが、筋肉が張った状態が続くと、ポンプ作用がうまく働かず血液の流れが阻害されてしまいます。すると血液に乗って排除されるはずの老廃物(発痛物質や疲労物質)がとどまってしまい、コリや不快感となって出現します。また、ポンプ作用が阻害されることで、体に必要な酸素や栄養が体の各部に届けることが難しくなります。
筋肉のコリの原因
咬筋に限らず、体の筋肉が凝る原因として、先にも挙げたオーバーワークによる筋の過緊張や硬縮のほか、体の歪みや内臓の病気などが原因として挙げられます。
①同じ姿勢でじっとして動かさない、或いは②同じ動作を続け特定の部位を使い過ぎる、といった行為は、コリにつながります。
接触癖を始め、「じっと動かさずに酷使してしまう」ことが、現代の生活様式には溢れています。
コリが出る人と出ない人の差は、その人の体の使い方や、どんな風に時間を過ごし身体はどういう姿勢であるか、体質、冷え、ストレスなどが関係してきます。
咬筋のコリがあると、どんな影響が現れるの?
顔貌や口の中に、様々な影響が現れます。
エラの張った顔貌・あごの関節の不調・首や肩のコリ・歯のすり減りや破折・歯の揺さぶり・歯茎が下がる・舌位が下がる。
無意識で咬筋をトレーニングした結果が、こうした影響を及ぼなんて、イヤですよね…。
咬筋のコリを改善させる方法
咬筋のコリを軽減するには、以下のような対策があります。
①接触癖を自覚する
まずは癖に気づく必要があります。どんなときに癖が出やすいのか探ってみましょう。癖が出やすい場面が分かったら、その場面で時に「ポストイットリマイダー」を実践するといいでしょう。
リマインダーとは、何かを思い出させる合図という意味を持ちます。例えば、パソコン操作をするときに接触癖が出やすいのであれば、パソコンの近くに「歯を離す」といったポストイットを貼り、目に入る度に、癖を意識し力みを取るという動作を行うことで、癖の軽減を期待します。
②接触癖を助長させる原因を減らす
咬筋肥大症の原因となる歯ぎしりや食いしばりは、そもそもストレスが原因となっていることがほとんどです。そのため、根本的な原因解決のためには日常的に受けているストレスや疲労を回避することも大切です。
③凝った筋肉をほぐす
適度な圧で、1回に約5分マッサージを行いましょう。
拳を作って行う・手のひらで行う方法等、ありますが過度なマッサージになってしまうと、咬筋を刺激し過ぎて逆効果となることもあるため、注意が必要です。また、肌トラブル時も注意しましょう。
※口の力を抜いて、軽く口開けながら行うことを忘れないようにします。
④対処療法としてマウスピースの装着
マウスピースを装着することで癖による影響を軽減します。特に寝ている間は無意識に癖を行ってしまうため、睡眠中の装着を継続することで咬筋の肥大を防止します。
⑤ボトックス療法
ボツリヌス菌から抽出されるタンパク質を緊張している筋肉に注射し、一時的に凝りをほぐす療法です。症状が重い場合に行われることがあります。3回程度繰り返すことで効果は高まり、半年から1年間ほど効果が持続するとされています。食いしばりや歯ぎしりの緩和、それらに伴う頭痛や肩こりの緩和にも有効とされています。
まとめ
咬筋にスポットを当ててお話ししてきましたがいかがだったでしょうか。
パソコンやスマホなどのデジタル機器の活用はこれからも、どんどん進んでいくことを考えると、接触癖の問題が低年齢化され、また全世代で重症化されていく可能性は否めないでしょう。そう考えたときに、口腔だけでない全身の健康にも目を向けていく必要もとても感じますね。
大人の歯並びのご相談は、江戸川区瑞江のステラ矯正歯科にご相談ください。