歯科コラム

矯正治療はどうして高い?矯正治療にまつわるお金の話

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ステラ矯正歯科 院長 西田英莉

江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

こんにちは、江戸川区一之江の矯正専門クリニック「ステラ矯正歯科」です。

今回のコラムでは、矯正治療にまつわるお金についてお話していきます。


矯正治療のイメージを問われたら、真っ先に「高い!」という回答が浮かぶのは数十年経っても変わっていないように思います。みなさんも学生時代、矯正をしていた子をお金持ちなんだなぁ…と思ったことはありませんか。
しかし、数十年の時が経ち予防歯科の概念が浸透したことで、個人によっては矯正治療に対してお金を払う優先度が高く、価値のあるものと考える方が増えてきました。


子供のむし歯リスクが減り、歯列不正に目が向けられるようになったことも影響しているでしょう。
矯正治療は必ずしも、お金に余裕がある人だけがおこなう特別なものではなくなってきています。
しかしながら、価値感が向上しても今も昔も「矯正が高い」というイメージは変わらないままなのは、なぜでしょうか。以下ではそれについて探っていこうと思います。

◎基礎知識 そもそも医療費って?
矯正の費用を知る上で、まずは日本の医療費の仕組みについておさらいしましょう。
日本は「国民皆健康保険」といい、国民全員が加入する公的医療保険制度を導入しています。
私たちが保険証を出して受けている病院での治療は全て、この制度に沿ったものです。
原則、治療費などは合計の3割の金額を窓口で支払い、残りの7割は保険機関から支払われます。保険機関とは、サラリーマンであれば毎月の給与から保険料を納めている機関をいいます。保険機関に属する人が納付したお金から、保険機関を通して診療費用の一部が負担される仕組みです。

「国民の誰もが、全国の医療機関において公的保険によって医療を受けられる」点は、
経済的負担が少なく、安心して医療が受けられる制度であり、海外からも高く評価されています。
しかし、現在は高齢化社会により医療費が増大し、医療保険制度の財政状況は逼迫しており、早急な改革が求められています。(高齢者の医療費負担が値上げされるニュースも報道されています)
医療費の基礎知識をお伝えしましたので、次に歯科治療との関係をみていきましょう。


●健康保険と歯科治療
医科の治療が、生命に直接関わるものであるのに対し、歯科治療は直接的に命を左右するものではありません。
医科治療ではほぼ全ての治療に健康保険が適用されますが、歯科治療では必要最低限度の治療にしか健康保険は適用されません。
具体的には、歯の痛みを取ったり正常に咬む機能を取り戻したりする場合にのみ、健康保険が適用されます。「治療をすること」が健康保険の対象となるため、むし歯や歯周病にならないための予防に健康保険は適用されません。
また、矯正治療やインプラント治療、審美歯科も健康保険は適用されず、自費治療となります。(一部、条件次第では健康保険が適用となることもあります。)


●歯科における保険診療と自費診療
保険診療と自費診療の大きな違いは「制限」です。
例えば、むし歯治療で新たな補綴物(詰め物)を入れる際、保険診療では治療方法や治療に使う材料・治療にかけられる時間に制限があり、その制限以上の治療をおこなえません。
それに対し自費治療は制限がないため、費用はかかりますが、それぞれの症状に合う快適性や審美性の優れた材料や治療法を制限なく選べます。
一般的に、「制限の差」は、強度や変色の差となり、保険診療の治療の方が耐用年数が短くなると言われています。また保険診療で使用されている金属は、金属アレルギーを引き起こす可能性もあります。

健康保険の恩恵を受けている日本人にとっては、「歯は何らかのトラブルが起こってから治療するもの」「保険の範囲内の治療が当たり前」という考え方が根強くありますが、このような治療の違いがあることを知っておくのは、必要なことでしょう。

◎矯正治療が自費治療であるということ
ここまでの話で「矯正治療は自費治療である」ことを理解して頂ければ嬉しいです。
矯正治療は精密な診断をおこない、その患者さんに最適な治療方法を提案しています。
より効果のある材料、最新の技術、かつ安全性の高いものを積極的に取り入れていく自費治療が矯正治療の姿といえます。ただし、自費治療ですので費用はどうしてもかかってきてしまいます。

◎矯正治療費の内訳
高額といわれる矯正費用の内訳は大きく分けて二つです。
●一つ目は「矯正材料や装置、医療機器の費用」です。具体的には、
①矯正歯科器具や矯正材料は、種類が多く、その一つ一つが高額であること。
②種類が多いため、抱える在庫数も多くなること。
③矯正装置は、オーダーメイドで製作されるため、そのコストが割高になること。
④歯科医療機器の費用や、メンテナンス費用がかかること。

●二つ目は、「歯科院の運営に関わる費用」です。
具体的には、家賃や水道光熱費・人件費・雑費や広告費などが挙げられます。
これらの費用は、どの職種の会社でも掛かる費用なのでご理解いただけると思います。

◎医療費用に対する価値観・海外事情
高額といわれる矯正治療ですが、人によって意識の違いも大きいのではないでしょうか。
健康保険制度が整備されていることで、私たちは治療費を心配せずに、安心して医療を受けられます。それが当たり前であるため、健康保険適用外の治療は高価であると感じやすい現状があります。海外では、そもそも健康保険制度を持たない国も多くあります。
それらの国では、自費で医療を受けることが基本となります。多くの人は民間の保険会社に加入し、高額な医療費の負担を軽減しています。こうした国では「予防」の概念が広く周知されています。
予防に先行投資をして、生涯を通じて歯の治療に使う費用を抑えようという考え方が一般的なのです。
日本では、まだまだ多くない考え方ですが、予防歯科のために歯科に通院する。予防のために保険が使われる世の中になってほしいですね。

◎まとめ
日本の医療の仕組みや矯正治療の費用について、理解していただけたでしょうか。
自費治療を選択する際、歯科医院によって治療内容や技術力、費用などは違ってきます。
江戸川区一之江のステラ矯正歯科では、そうした違いを納得した上で、矯正治療を始めていただきたいと思います。
当院での費用に関する疑問があれば事前にお伝えください。
そして長期にわたる治療期間を気持ちよく通院していただきたいと思っています。

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江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

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