突然ですがみなさん、自分の口の中に何本歯があるかご存じですか。
来院される患者さんに度々尋ねますが、知らないという方が結構いらっしゃいます。
また、矯正のための診断で自分の歯の本数を初めて知ったという方も多くいます。
本日のコラムでは「歯の本数」について取り上げてみたいと思います。
目次
歯の卵!?
私たちの歯は、歯胚(しはい)と呼ばれる「歯の卵」の状態からスタートします。
歯胚とは、歯や歯周組織の基となる細胞の集まりです。
歯胚があって歯は作られるのです。
歯胚は長い時間をかけてあごの骨の中で成長し、やがて歯として口の中に生えてきます。
乳歯の歯胚の始まりは生まれる前、妊娠6〜7週と早く、
妊娠を確認したころには、歯胚はすでに形成されています。
また永久歯の歯胚の多くも、出生時にはすでに形成されています。
歯胚が形成されたのち、カルシウム分の沈着(石灰化)が開始され、
歯冠が完成し、歯は生えてきます。
歯が生えてから、約1〜2年かけて歯根が完成されます。
妊娠が分かった時には、すでに「歯の卵」ができているなんて、驚きです。
子供の歯、いつから生えて何本になるの?
一般的な日本人の子供の場合、生後4−6ヶ月ごろに下の前歯から生え始めます。
その後、上の前歯・臼歯・犬歯と続き、最後に奥歯が生えてきます。
約3歳ごろには全部で20本の乳歯が生え揃います。
乳歯永久歯のどちらも、個々の発育差や人種差などありますが、
ある程度の規則性を持って生えてきます。
大人の歯、いつから生えて何本になるの?
永久歯は6歳ごろから生え始め、12歳ごろに生え揃い、
全部で28本になります(親知らずは除く)。
下の奥歯から生え始め、上の奥歯・下の前歯・上の前歯と順に生えていきます。
ここまでの順番は多くの日本人で共通しています。
その後の生えてくる順番は何パターンか存在しています。
最も頻度の多いパターンだと、
第一小臼歯に続いて犬歯・第二小臼歯・第二大臼歯という順番で生えてきます。
18−20歳前後に、親知らずまできれいに生え揃った場合は、
32本となりますが、現代人では骨格の変化により、
真っ直ぐに生えてこないことや、親知らずの歯胚を持っていない人も増えています。
そもそも、どうして歯って生え変わるの?
人間を含めたほとんどの哺乳類は「二生歯性」、
つまり人生の中で2セットの歯が生えるようになっています。
歯が生え変わる理由は、哺乳類が進化の過程で
「ミルクから食事へと食事内容を変化させたこと」
「成長する骨格の大きさに対応するため」
と考えられています。
別の言い方をすれば、骨格の成長がなくなれば、
歯は生え変わる必要がなくなります。
人間だと18歳ごろ、ちょうど親知らずが生えてくる時期が成長の終了となり、
それ以降は歯が生え変わることはありません。
他の動物の歯ってどうなっているの?
哺乳類以外の動物の「歯」に目を向けてみると、それぞれ面白い特徴を持っています。
例えばサメは、抜けて生えてを何度も繰り返し、一生に2万本以上の歯を使うといわれています。
ウサギは、「常生歯」といって、歯が一生伸び続けるという特徴を持っています。
1ヶ月に1cmほど伸び、伸びた分は繊維の多い牧草を食べることですり減らすそうです。
草食動物は、草をすり潰すために臼歯(奥歯)がよく発達しています。
一方、肉食動物は、他の動物を捕らえ、肉を引き裂いて食べる必要があるために、犬歯が鋭く発達しています。
それぞれの進化の過程に合わせ、歯や顎が発達していったのですね。
サメみたいな歯になるのは恐いですが、何度も繰り返し生え変わるなんて、羨ましいですよね。
歯の数は変化し続ける?!
人類が進化の過程で「火を使って調理を覚えたこと」で食生活は大きく変化してきました。
食物を食べやすくしたことで、噛む必要性が減り、噛む力が弱くなっていったのです。
人類は長い期間をかけ、使う部分は発達し、使わない部分は退化する過程を辿っています。
その結果、現代人では歯の大きさ形は縮小し、歯の本数が足りない人が増えています。
この先の未来では、歯の本数はもっと減っていき、永久歯は20本になるであろうともいわれています。
現代の食生活を見ると、歯が減っていく未来になりそうです。
まとめ
本日のコラムはいかがだったでしょうか。
食生活により噛む力が弱くなったことは、歯の本数が減るだけでなく、歯並びが悪くなる原因でもあります。
噛む力と歯並びの関係については、別の矯正コラムでお伝えします。
次回のコラムでは、「歯の本数」第二弾として、歯の数の過不足についてお話ししたいと思っています。
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