歯科コラム

矯正治療に伴う抜歯について

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ステラ矯正歯科 院長 西田英莉

江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

こんにちは。江戸川区(一之江・瑞江・船堀)のステラ矯正歯科 院長西田です。

本日のコラムでは、「矯正治療に伴う抜歯について」お話します。

誰しも健康な歯を抜くことには抵抗があると思いますが、決して医師は安易に歯を抜く判断をしているわけではないことを、お話しできればと思います。

矯正治療における抜歯vs非抜歯

矯正治療における抜歯の必要性は古くから論じられ、その歴史は1771年まで遡ります。

その後、多くの歯科医たちによって抜歯・非抜歯が論じられてきました。

そんな中、1925年に出された「いかなる矯正方法を用いても、歯槽基底部を超えた移動は不可能である」とする理論は、今日においても抜歯・非抜歯の重要な基準論となっています。

そして現在、「抜歯・非抜歯のどちらが優れているという観点ではなく、慎重な分析と診断の結果、抜歯が適応であれば、それはおこなうべき」というのが矯正治療のグローバルスタンダードとなっています。

矯正治療の抜歯の目的って?

抜歯による矯正治療の目標は「歯列・咬合の改善と治療後の安定性」を得ることです。

分析をおこなう際、抜歯するか否かも含めて診断していきます。いくつかある中から、どの分析方法・どの抜歯基準方法を選ぶかは、歯科医師によって異なるため、診断結果に差異が生じてきます。

いずれの場合にしても、治療目標が達成できるよう分析診断をおこなっています。

どんな場合に、抜歯が適応となるの?

いくつか主な症例を挙げてみます。

  1. あごの骨に比べ歯が大きく、あごの骨や歯列を拡大するのに限界がある場合
  2. 上下の歯の大きさがアンバランスな場合(先天的に歯のサイズが小さい・大きい)
  3. 上下の歯の本数にズレがある場合(先天的に歯が足りない・むし歯や歯周病で歯を喪失した)
  4. 出っ歯や受け口の程度が大きい場合(抜歯した隙間を利用しないと、改善が期待できない)
  5. 噛み合わせが深すぎる・浅すぎる場合(抜歯した隙間を利用しないと、改善が期待できない)

以上のような場合は、分析診断の結果、抜歯が適応となることが多くなります。

矯正用アンカースクリューの登場により、以前は抜歯症例であったものが非抜歯で治療が可能になるなど、装置の進歩により抜歯を回避できる症例も出ています。

将来、技術や装置の進歩によって、抜歯を回避できる症例がより増えるかもしれません。

抜歯する歯はどうやって決めているの?

前歯から数えて、4番目の歯「第一小臼歯」が抜歯の対象となることが一般的です。

4番目の歯が選ばれる理由としては、いくつかありますが、

  1. 前歯と奥歯のほぼ中間にあり、ここにスペースを作ることで歯の移動量が少なくて済む
  2. 食べ物を咬み切る前歯・すり潰す奥歯に比べると「食べる機能」に影響が少なくて済む
  3. 歯を抜いた時、審美的な障害が少なくて済む

こうしたことから、4番目の歯「第一小臼歯」が抜歯の対象となりやすくなります。

ただし、必ずしも「第一小臼歯」とは限りません。5番目の歯である「第二小臼歯」や、奥歯が抜歯部位として選ばれることもあります。

また大きなむし歯があったり、歯の根まで治療をしている歯がある場合などは、その歯の将来的な予後を考慮し、そうした歯を抜歯部位として検討することもあります。

「歯を抜かない矯正治療」という宣伝をみたことあるけど、どうなの?

結論からいうと、慎重な分析をした結果の非抜歯であるかどうかが重要です。

それに尽きます。

歯を抜かずに安定した噛み合わせをつくれるなら、それに越したことはありません。

しかし、本来抜歯すべき状態に対して、非抜歯にこだわり非抜歯治療をおこなった場合、歯を無理やり並べることになります。

あごの骨を超えて歯列が拡がることはないため、「前歯が前方に出て口元がより出てしまった」「矯正前よりも噛みにくくなってしまった」「歯茎が下がったり知覚過敏が起こりやすくなったりしてしまった」など、こうした治療結果に陥ることがあります。

数年後、他院にて「抜歯治療で、矯正治療をやり直す」選択をされる方もいますが、

2度の矯正治療は、費用も期間も大変です。

矯正のための抜歯は自費治療の対象?

矯正治療は自費治療となります。(「なぜ矯正治療が自費治療なのか?」についての記事)

そのため、矯正治療に伴う抜歯も基本的に「自費治療」となります。

当院のような矯正専門医では、抜歯はおこなわず一般歯科や口腔外科へ依頼しております。

抜歯に伴う費用は、その歯科医院における自費での料金となります。

まとめ

矯正治療における抜歯についてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。

江戸川区にあるステラ矯正歯科では、抜歯か否かも含め慎重に診断分析をおこない、治療方針を決定しています。

また、抜歯と非抜歯の境界線の症例や、いくつかの治療方針が検討できる症例ではそれぞれの治療方針を提示し、患者さんやそのご家族に意思決定をしてもらっています。

治療方針に納得した上で治療を開始することは、とても重要です。

どうしても抜歯に強い抵抗感のある場合は、矯正自体をやめることも選択肢の一つとなるのではないかとも考えます。

江戸川区瑞江・一之江・船堀で矯正治療をお考えの方は、ステラ矯正歯科にご相談ください。

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ステラ矯正歯科 院長 西田英莉

江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

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