歯科コラム

矯正治療中に発生の多い口腔粘膜疾患について

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ステラ矯正歯科 院長 西田英莉

江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

こんにちは。江戸川区瑞江のステラ矯正歯科 院長西田です。

本日のコラムでは「口腔粘膜に起こる疾患」について、いくつか取り上げてお伝えしたいと思います。

矯正器具によって口腔粘膜に損傷が生じることもあるため、その点についても合わせてお伝えしていきますね。

矯正治療中で口腔内に痛みを感じる女性のイラスト

口腔粘膜ってどこを指し、どんなものなの?

舌・歯肉・頬・口唇・口蓋などの外表面を覆う軟組織を「口腔粘膜」といい、
外界の刺激や有害物物からの保護・唾液分泌・感覚器官としての役目をもっています。

口腔粘膜は、唾液により湿潤し保護される一方、飲食物のダメージや、口内にいる多数の細菌による感染の影響を受けるため荒れが起こりやすい場所でもあります。

口唇炎とは

口唇で見られる口腔粘膜疾患です。

いわゆる、よく目にする唇の荒れた状態を「口唇炎」といい、冬の乾燥時期で好発します。

口唇炎が悪化すると、唇全体が乾燥が強くなり皮が剥けたり唇が腫れたりし、痒みや亀裂を伴うようになります。

口唇は水分保持力が低いため乾燥に負けてしまうと、いつもなら問題が起こらない食べ物や化粧品なども「かぶれ」が起こり、状態が悪化してしまいます。

口角炎とは

口唇の端に見られる口腔粘膜疾患で、腫れ・乾燥や亀裂といった症状が見られます。

症状が悪化すると、食べたり喋ったりと口を開けるたびに口角が裂け、痛みを伴うこともあります。

矯正治療に限らず、歯科治療では口を開けてもらうよう指示を出すことも多いため、症状の度合いによっては、歯科治療を受けることを辛く感じる方もいるかもしれません。

口角への刺激・ビタミン(B2、B6、B12)やミネラル(鉄分)が不足することで口角炎は発生しやすくなるため、

乾燥を防ぐことはもちろんですが、栄養不足にならないよう健康に気をつけることも大切となります。

口内炎とは

頰の内側や歯肉・舌など、口内の粘膜に炎症によって形成される潰瘍や水疱を「口内炎」といいます。

大きな誘因は「免疫力の低下」ですが、そのほかの原因として、疲労やストレス、
寝不足、栄養不足、栄養の偏りなどの「生活習慣の乱れ」、アレルギー、誤って粘膜噛んで損傷させてしまった、
ウイルスや細菌の繁殖など、様々挙げられます。

また女性の場合、ホルモンバランスが崩れやすい生理前や妊娠期には口内炎が発症しやすくなります。

矯正治療中でいうと、矯正器具による刺激も口内炎の原因となります。

特にエッジワイズ装置装着初期の頃は、清掃に慣れておらず清掃不足に陥りやすい・
矯正の動く痛みで食べれない、といったことも重なるため、口内炎の多発を訴えられる患者さんもいます。

思い当たる原因を軽減することはもちろんですが、
副腎皮質ステロイド入り軟膏や、口内炎治療薬(貼付)、うがい薬を上手に活用することや
刺激物の摂取や、タバコ、アルコールを控えることのほか、ビタミンB群といった栄養補給も推奨されます。

口内炎と呼ばれるものは、いくつかに分類されるため、以下にご紹介します。

アフタ性口内炎

最も発症の多い、いわゆる一般的な口内炎をいいます。

大きな誘因は「免疫力の低下」です。

境界線がはっきりとした小さな腫瘍で、粘膜表面が狭い範囲で白色あるいは黄色の膜で覆われ、
その周囲が赤く腫れた状態を「アフタ」といいます。痛みがあり、食べ物がしみます。

通常1~2週間程度で自然治癒しますが、再発を繰り返すことも多く、その場合は「再発性アフタ」と呼ばれます。

カタル性口内炎

生活習慣の乱れも誘因となりますが、物理的な刺激や傷が直接の原因となります。

先に記したエッジワイズ装置における口内炎は、「カタル性口内炎」」に該当します。

その他として、取り外しできる矯正装置や義歯(入れ歯)、熱い食べ物による傷などによる口内炎もここに該当します。

接触性口内炎(アレルギー性)

食品や化粧品、金属などの刺激物質(アレルゲンも含む)との接触によって発生した口内炎を「接触性口内炎」といいます。

矯正治療では金属を用いることも多いため、過去に金属アレルギーの既往があると心配される患者さんもいらっしゃいますが、
矯正器具によるアレルギー発生はごくごく僅かなものであり、心配せずに治療を開始できることがほとんどです。

剥脱性口唇炎とは

唇の皮が繰り返し剥がれ続けてしまう状態をいいます。

唇が極度に乾燥している状態で、大人より子どもで多くみられます。
唇を頻繁になめると「剥脱性口唇炎」を招きやすいことから「舌舐めずり口唇炎・舌なめ皮膚炎」などとも呼ばれています。

唾液でさえも刺激となり、症状を悪化させることもあります。

口呼吸は、口唇を乾燥させる原因の一つですが、矯正治療を必要とする子どもの相当数で口呼吸が常態化しています。

そのため口唇の乾燥が強くなり、頻繁に唇を舐める癖が習慣化しているお子さんが一定数認められます。

まとめ

日常で起こりやすく、矯正歯科患者さんに発生の多い口腔粘膜疾患をピックアップしてお伝えしてました。

粘膜にトラブルが生じた際の痛みや違和感は辛いものです。放置して悪化してしまうことがないよう、ぜひお声がけください。

江戸川区瑞江で矯正治療をお考えの方は、当院にご相談ください。

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ステラ矯正歯科 院長 西田英莉

江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

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