歯科コラム

歯並びにも影響する?!小帯について

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ステラ矯正歯科 院長 西田英莉

江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

こんにちは江戸川区瑞江のステラ矯正歯科 院長の西田です。

本日のコラムではお口の中に存在する「小帯(しょうたい)」についてお話ししようと思います。

小帯の位置や太さ(硬さ)に異常があった場合、歯列咬合に影響を与えることもため、その点についてもお伝えしていきますね。

お口の中の小帯

小帯とは

頬や唇の粘膜と歯茎の間をつなぐ、筋状の細いひだ(すじ)を「小帯」いいます。

お口の中には、①上唇小帯、②下唇小帯、③頬小帯、④舌小帯、といった複数の小帯が存在しています。

①上唇小帯…上の前歯の間から唇にのびるヒダ

②下唇小帯…下の前歯の間から唇にのびるヒダ

③頬小帯…上下の小臼歯付近から頬につながるヒダ

④舌小帯…舌の裏にあるヒダ

小帯の長さや位置には個人差があり、生まれつき位置や太さに問題がある場合や、歯の喪失等によって後天的に小帯に問題が生じる場合があります。

上唇小帯とは

上の唇をめくったとき、前歯中央の粘膜にあるヒダを「上唇小帯」といい、

上の唇と歯茎をつなぎ、上の唇を固定し過度な運動を抑制する働きがあります。

2歳ごろまでは、上唇小帯は長く太いのが正常ですが、あごの成長とともに小帯位置は上方に移動し、幅が狭くなっていきます。

上の前歯の生え変わる時期になっても上唇小帯の位置が移動しない場合、小帯が前歯の歯間に入り込んだ状態となり、正中離開(すきっぱ)」の原因となったり、上の前歯を磨く際、小帯を傷つけやすくなったりします。『上唇小帯付着異常』

そのため状況によっては、上唇小帯を切除し環境改善を図ります。

おおよそ6~7歳前後が、切除を行うか否かの判断時期となります。

上唇小帯を切除することで、上唇が伸びて動かしやすくなるだけでなく、歯列不正の悪化予防・審美的変化が期待できます。

切除を行っても正中離開が自然に改善しない場合、矯正治療を行う選択肢が出てきます。

頬小帯とは

上下のあごの小臼歯部辺りの頬粘膜から歯槽部にかけて付着しているヒダを「頬小帯」といい、上下左右に4本あります。

頬小帯が短かったり歯肉の上方に位置している場合(頬小帯高位付着)、ブラッシングの邪魔となったり、頬粘膜の動きに合わせて頬小帯が引っ張られるため、歯周病の悪化因子となり、歯肉退縮や根面露出を生じてしまうことがあります。また頬小帯の位置が悪いと、むし歯治療の過程で必要な被せ物の型取りがしにくくなるといったこともあります。

こうした状況の深刻度によっては、頬小帯の付着位置を引き下げる処置を行うことがあります。

舌小帯とは

舌の裏側についているヒダを「舌小帯」といい、舌小帯が短かったり舌の尖端に近い位置にある場合、舌運動の制限が起こります。可動域が狭くなることで、哺乳や咀嚼・嚥下・発音などの機能に問題が生じたり、歯列咬合を悪化させる原因になってしまうことがあります。

そのため状況によっては、舌小帯を切除し環境改善を図ります。

舌小帯の切除を検討する時期として、授乳が困難な場合は出産後すぐに行うことがありますが、通常は就学前に判断されます。

他の小帯切除と異なる点としては、切除前後に舌の可動域を広げるストレッチや、舌を上に挙げるトレーニングを行う必要があります。

切除しただけで動かさないでいると、傷口が固くなり瘢痕拘縮(引き攣れ)を起こしてしまいます。これでは切除した意味がなくなってしまいます。

舌小帯の切除を行うことになった場合、術前に数ヶ月ほど舌のストレッチ・挙上のトレーニングを行います。

切除・抜糸後、1週間程度経ったらトレーニングを再開し、舌の伸展・挙上・位置の改善を行なっていきます。

術後の痛みが強いと、舌を積極的に動かすことが怖かったり不安に感じたりしてしまいますが、舌の可動域を広げるためにも瘢痕を防ぐためにも、痛みが薄らいできたらトレーニングを行う必要があります。

小帯の切除について

小帯の切除には健康保険が適応され、3割負担であれば数千円程度の負担となります。

表面麻酔と少量の局所麻酔を行い、メスやレーザーを用いて小帯の切除を行います。

一般的な流れは以下となります。(各医院によって違いはあります)

①小帯周囲に表面麻酔を行ったのち、局所麻酔を行います

②小帯を引っ張り固定した状態にしたら、小帯に切れ目を入れ硬い組織を切除します

③止血を行い、切り目を縫合します

④一週間前後で抜糸を行います

術後2~3日は、傷口に痛みが生じやすく、また縫合した糸がチクチクとして痛むこともあります。また痛みには個人差があり、食事のしにくさや話しにくさを感じることもあります。

まとめ

小帯についてお伝えしてきましたが、ご理解いただけたでしょうか。

小児で切除を検討することが大半であるため、難易度は高くないといっても外科的な処置となる、本人や保護者の不安も大きい思います。診断時や成長の過程で切除を検討した方が良いとなった場合は、安心して処置に望めるよう説明に努めています。

江戸川区のステラ矯正歯科では、こどもの歯並びのご相談も承っています。

お子さまの小帯について気になることが当院にあればご相談ください。

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ステラ矯正歯科 院長 西田英莉

江戸川区瑞江 ステラ矯正歯科 院長 西田英莉  --------------  ◯平成20年鹿児島大学 歯学部 卒業 野井倉賞受賞  ◯平成20年愛知学院大学 歯学部付属病院 研修医  ◯平成21年日本大学 歯科矯正学教室 入局  ◯平成24年-31年福増矯正歯科 常勤勤務  ◯平成27年日本矯正歯科学会認定医修得 

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