こんにちは。江戸川区瑞江のステラ歯科 院長西田です。
矯正治療で使用される装置は多岐に渡り、取り外しできるものと、取り外しできないものに大別されます。
今回のコラムでは「取り外しできない、拡大タイプの固定式矯正装置」について、いくつか代表的なものご紹介しますね。
取り外しができないため、治療効果が計画的に得られやすい利点はありますが、口内の違和感やトラブル時の痛み、清掃の難しさなどが欠点としてあげられます。
乳歯列用急速拡大装置ハース・永久歯列用急速拡大装置ハイラックス
上あごの2~4歯に装着されたバンドと、上あご中央に位置する拡大ねじによって構成される固定式装置となります。拡大ねじを回すことで、狭い上あごを徐々に広げる作用があります。
上あごの中央を縦断する「正中口蓋縫合」をで離開・拡大することで、そこに新たな骨が作られ、上あご自体の側方拡大が図られます。離開により上あご前歯に隙間が生じてきます。
「正中口蓋縫合」を離開する最適な年齢は8~15歳ごろとされ、後戻りを考慮すると拡大量は6~7㍉が限界といわれています。
上あご中央に位置された拡大ねじを、患者さん本人あるいは保護者の方がスクリューキーを使って回転しますが、慣れるまで扱いを難しく感じることがあります。
㌔グラム単位の強い力が発揮されるため、疼痛を感じることがあります。
上あごを拡げることで鼻腔(上あごの上に位置)も拡大されるため、鼻通りの改善も期待できます。
※正中口蓋縫合とは、左右二つに分かれた上顎骨正面にある繋ぎ目を指します。
癒合前に急速拡大を行うことで積極的な上あごの拡大が可能となります。
癒合するのはおおよそ10歳ごろとされていますが、成長には個人差があるため、それ以降でも使用されることもあります。
ポーター・クワドへリックス・バイヘリックス
いずれも、左右奥歯にバンドを装着し、バンド同士を太いワイヤーが歯列の内側に沿うように連結維持した構造となっています。
主に、上あご下あごの狭い歯列弓の側方拡大を目的とした固定式装置となります。
適応年齢は特になく、エッジワイズ装置との併用が可能なこと、特定の歯のみの移動が可能なことから永久歯列期にも多用されています。
ポーター・バイヘリックス・クワドヘリックスは、ほぼ同一の用途を持つ装置となりますが、その違いはヘリカルループの数にあります。
ヘリカルループとは、装置を構成する弾性ワイヤーが円形ループ状に屈曲したもの指し、そのヘリカルループを調整することで持続的な矯正力をかけることが可能となります。
ポーターはヘリカルループを持たず、バイへリックスBHはヘリカルループを2つ、クワドへリックス QHはヘリカルループを4つ所有します。
ヘリカルループを持たないポーターはバイヘリックスやクワドヘリックスに比べると矯正力が多少強くなります。
固定式装置となるため、装着初期は違和感が大きく、喋りにくさや食事のしにくさがあります。
リンガルアーチ
様々な使用目的がありますが、主に混合歯列期までの、前歯反対咬合の改善したい場合に用いられ固定式装置となります。
左右奥歯(大臼歯・乳臼歯)にバンドを装着し、バンド同士を太いワイヤーで、歯列の内側に沿うように連結維持した構造となっています。
歯を動かしたい場合には、弾性ワイヤーが付与されます。(上下ともに適応となります)
適応の目安として、1本~数本の歯を2~3ミリ傾斜移動させることで、治療目的が達成可能な場合に用いられます。
その他の目的として、奥歯の固定や、埋伏歯を引っ張る土台、保隙目的で使用されます。
拡大の種類
本文でも記した部分があったかと思いますが、狭窄歯列弓の原因が「歯槽性か骨格性か」によって、拡大のタイプは①急速拡大、②緩徐拡大、に大別され、選択される装置が異なってきます。
ハース、ハイラックスは「急速拡大」に分類され、正中口蓋縫合を比較的強い力で離開させることで歯槽性あるいは骨格性の変化を期待します。
一方、クワドヘリックスやバイへリックなどは「緩徐拡大」に分類され、急速拡大よりも弱い力で歯を徐々に外側に傾斜させて歯列を広げていきます。
まとめ
拡大目的をもつ固定式装置についてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。
どんな装置を用いるかは分析診断ののち決定されますが、用いられる装置は多岐に渡ります。
矯正治療をお考えの方は、江戸川区のステラ矯正歯科にご相談ください。
今回コラムでご紹介した装置が選択された場合は、改めてしっかりご説明させていただきますね。