こんにちは。江戸川区一之江の矯正専門クリニック「ステラ矯正歯科」です。
以前のコラムで「睡眠時無呼吸症候群」についてお話しましたが、今回は「第二弾/睡眠時無呼吸症候群(SAS)」をお伝えいたします。本コラムでは、SASに対するセルフチェックやセルフケアを中心にお伝えしていきます。
目次
前回のおさらい。睡眠時無呼吸症候群(SAS)って何??
睡眠中の舌の沈下により上気道が閉塞され、呼吸が止まったり浅くなったりしてイビキ・無呼吸・低呼吸が起こる症状をいいます。体が低酸素状態になることで、様々な合併症を引き起こします。
発生原因として「肥満」「下あごが後退している骨格」「扁桃腺やアデノイド肥大」「口蓋垂・舌が大きい」「鼻炎・鼻中隔湾曲」等が挙げられます。
睡眠中は喉の緊張が緩むため、誰でも空気の通り道は狭くなりますが、上記のような原因があると、狭い気道に舌が落ち、睡眠時無呼吸症候群が発生する可能性があります。
対症療法としては「CPAPシーパップ/経鼻的持続陽圧呼吸療法」という方法が最も普及しています。
マスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。
また顎の後退を防ぐためのマウスピースの装着も、よく用いられる対症療法です。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックしてみましょう。
SASセルフチェック
①いびきをかいていると言われたことがありますか。
②睡眠中に息が止まっていると言われたことがありますか。
③息苦しくて目が覚めてしまうことがありますか。
④夜中にトイレに1回以上起きることがありますか。
⑤何時間寝ても頭がスッキリしない・熟眠感が得られないことがありますか。
⑥起床時に頭痛がありますか。
⑦日中に我慢できない眠気がありますか。
⑧健康診断で肥満を指摘されたことがありますか。
⑨高血圧・脂質異常症・糖尿病・不整脈のいずれがありますか。(SAS所有者は生活習慣病を合併している方が多い。)
⑩扁桃腺が大きいと指摘されたことがありますか。
睡眠時無呼吸と生活習慣の改善??
生活習慣
SASには対症療法とともに、発生原因となっている生活習慣の改善に取り組むことが勧められます。SASに関わる生活習慣は以下になります。
①「肥満」…肥満はSASの原因となるため、減量が必要です。つまりダイエットに取り組むことが求められます。
②「禁酒」…就寝前のアルコール摂取は、筋肉をより緩める作用があるため、舌や咽頭の筋肉が緩んで沈下し、気道狭窄を引き起こしやすくなります。完全な禁酒が難しい場合は、就寝4時間前までに飲み終わるようにすることで、睡眠時の悪影響を多少避けられるといわれています。
③「薬」…睡眠薬や精神安定剤の服用は、アルコール摂取と同様の働きをもたらすため、SASの進行度によっては、薬を控えるといった検討も必要となります。※自己判断せず主治医とよく相談しましょう。
睡眠時無呼吸と寝相の関係??
重力の関係を考えると、「仰向け寝」は、舌の沈下や軟口蓋が下がるので気道が狭くなりやすい姿勢です。一方、「横向き寝」や「うつ伏せ寝」は、気道狭窄が起きにくい姿勢です。(横向き寝なら全く無呼吸が生じないわけではありません)
そのため、SASを軽減する対策の一つとして、横向き寝が推奨されることもあります。
一般的に、抱き枕を使用することで横向き寝がしやすくなるとされています。
睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係??
SASと高血圧
SASと高血圧の関係性を話す前に、血圧についておさらいしておきましょう。血圧とは、心臓から流れる血液が血管を押す圧力のことです。
「高血圧」とは血管を押す圧力が強い状態をいい、自覚症状がないのが恐ろしい点です。高血圧が続くと動脈硬化が進行するリスクが上がります。動脈硬化とは、血管の収縮性が失われ、血管が硬く脆くなってしまう状態です。
高血圧の診療ガイドラインでは、SAS二次性高血圧の原因疾患の一つに位置づけられています。二次性高血圧とは、何か別の疾患(ここではSAS)に付随し生じている状態で、降圧薬が効きにくいという特徴があります。原因となる疾患に対処することで、血圧を上手にコントロールできる場合が多くあるようです。つまり、SASの軽減・改善ができれば、高血圧もコントロールしやすくなるということです。
どうしてSASが高血圧を生じさせるの??
無呼吸状態から呼吸が再開するとき、身体は寝ている状態でも脳は覚醒され、同時に睡眠も一時中断された状態となります。その結果、交感神経が亢進され血圧が上昇します。
本来寝ている間は、副交感神経が優位ですが、SASは無呼吸・呼吸再開のパターンを繰り返すため、その度に交感神経の亢進による血圧の変動(上昇)が生じることになります。
高血圧をコントロールするには??
高血圧の治療は、高圧薬による治療と生活習慣改善の双方が必要となります。
高血圧に関わる生活習慣は以下のとおりです。
①「食生活の改善」…日本人にとって高血圧の最大の原因は「塩分過多」だと言われています。そのため塩分を控える必要があります。コンビニ弁当や外食・加工食品・麺類のスープなどは塩分濃度の高い食事です。自炊する機会を増やすことも解決策になります。ただし、その際は調味料の使い過ぎに注意しましょう。
②「適度な運動」…適度な運動は血圧を下げる効果があります。具体的には1日30分以上の有酸素運動の習慣が推奨されます。
肥満も高血圧の原因となるため、運動による減量も期待できます。
③「ストレスを溜めない」…ストレスがかかると交感神経が刺激され、血管が収縮し血圧が上がってしまいます。
また副腎という臓器から血液を固めるホルモンが分泌され、血液がドロドロになり血栓もできやすくなってしまいます。
④「禁煙」…タバコに含まれるニコチンが交感神経を刺激するため、血圧が上がり脈拍が増えるだけでなく、動脈硬化を加速してしまいます。
⑤「睡眠の改善」…先にも書いていますが、SASは高血圧の原因となります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群PART2をお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。
矯正を始める方も増えたことで、SASに該当するであろうと思われる方に出会うことも多くなってきました。
SAS改善の一環として歯の矯正を始める方もいれば、問診や分析の結果SASだろうという推測ができる方など様々ですが、矯正治療を通じて、全身の健康を考えるきっかけや獲得になれば、当院としても大変嬉しく思います。